Toys for SAKURA ブランディング計画 起業編2(2)

これは事業化支援部門の石原田先生とのお話の続きです。前回のお話はここから。

2、鹿児島大学発認定ベンチャーに登録したいのですがどうすれば良いですか?

ここのリンクにあるように大学発のベンチャーとして認められるためには幾つかの条件があります。それが以下の国立大学法人鹿児島大学発ベンチャーの認定及び支援に関する規則第2条でして、

(1) 本学で達成された研究成果、習得した技術等に基づいて起業されたもの
(2) 本学の職員又は学生が、自己の所有する特許を基に起業したもの
(3) 次条の認定申請の日において退職、卒業又は修了の日から3年以内の本学の元職員又は元学生が、本学で達成された研究成果又は自己の所有する特許を基に起業したもの
となっております。私の場合(1)に該当するので問題ないとのことです。
順番としては
①ノウハウ届
②兼業許可申請
③利益相反マネジメント申請
この①から③は学内の事なので同時に進めても良いようです。③に関しては知的財産係に問合せくださいとのことです。
それが終わった後は、
④税務署に個人事業登録(法人だと国税庁に登録しなくちゃいけないみたい)
⑤大学発ベンチャー申請及び審査
をパスすれば晴れて登録らしいです。

たった5つですから楽ちんですね(嘘です)。

あとは最後の質問です。ある意味一番重要かもしれないのですが。

3、起業資金を集めるのはどうすればいいんでしょうかね?
これに関してなんですが、私の頭のなかでは、レーザー加工機などを購入して一つずつ作っていく事を考えていました。しかし石原田先生曰く、生産ラインを自社で行うスタイルはあまり現実的ではないとのことで、結局多くのコストがかかってしまうとの事です。言われてみればこのブランドのルールが守られていれば別に私が作る必要がないわけで、ちゃんと趣旨を理解していただける外注先を見つければいいわけです。将来的には自分達で作るとしても、最初は外注した方がリスクも低いし初期投資も少なくてすみます。
どうやら鹿児島大学には認定コーディネーターというのがあるらしく、その認定を取った方々が地元の銀行などにいるようです。そのような銀行の顧客と私のようにアイデアをもった大学人をつなげてくれるようで、その利用を勧められました。なるほど、これならば信頼できる外部企業を見つけられそうな気がしますね。
このブランドでやろうとしている「出来る限り天然素材で」という理念を共有できる企業があると良いのですが・・・。

その後は開店資金を得るためにクラウドファンディングなどをすればよいとのことです。ある程度見積もりが出来てからマーケティングを兼ねた資金集めをすれば良いということですね。

何とかクラウドファンディングまでに半年くらいでたどりつきたいですね~

Toys for SAKURA ブランディング計画 起業編2(1)

産学官連携推進センターの事業化支援部門の方に出向こうと思っていたのですが、先方の方から私の研究室に来ていただけるとの事で、わざわざ遠い工学部方面より教育学部まで来ていただきました。

来て頂いたのは産学官連携推進センター事業化支援部門の特任教授の石原田秀一先生です。

工学部方面からわざわざ来て下さった石原田先生

今回先生にアドバイスを頂いたのは以下の3点です。
1、意匠登録を毎回するのが大変になりそう。何とかならないですかね?

2、鹿児島大学発認定ベンチャーに登録したいのですがどうすれば良いですか?

3、起業資金を集めるのはどうすればいいんでしょうかね?

の三点です。先生はこんな素人丸出しの私に対して、非常に明確にアドバイスを下さりました。

1、意匠登録を毎回するのが大変になりそう。何とかならないですかね?

以前のブログで書かせて頂いた高橋先生との面談で、大学に意匠の登録を依頼しようと思い、職務発明届出書という書類を作成しました。この書類なんですが見て貰えれば分かるのですが、その名の通り、発明なんかを届け出る書類なんです。だから私の作っているようなものは内容的にすごく書きづらいんです。なにか新規的な事がないと書けない。今回提出したものは、何となくそれらしく「新規性があるよ!」みたいに書いたのですが、次回以降にこれを書くのも大変だし、それを審査委員会の先生方に毎回お時間を取ってみて頂くのはご迷惑かなと思ってこの質問をしてみました。

 私個人としては別に意匠登録など無くてもいいんです。パクリたい人はどんどんパクって下さって構わないんです。でも職務上の発明だから大学にちゃんと利益が行くようにしなくちゃいけないんです。

石原田先生のアドバイスとしては、商品一つ一つを商標登録する(図1)
のではなく、例えばロゴだとか、分かりやすいのはフォントを開発してそれを商標登録して、それを使うもの全てを対象とする形が良いのではないかということです(図2)。そうすればロゴを使っている以上、大学にちゃんとインセンティブが発生するわけです。でもフォントの開発はちょっと厳しいのでロゴだけにしましょう。

(図1)商品を一つずつ登録する通常の方法 図の場合三回も特許庁に登録申請をしなくちゃいけないから大変

もう一つの方法としては、ノウハウを登録する方法らしいです。これは意匠や商標みたいに形あるものでは無く、その方法が特異的な場合にその方法を利用する場合に大学側にその利用料を支払うというものらしいです。売り方なのか、作り方なのか、あるいはその両方か。それを明確化して申請すれば良いようです(図3)。大学側がそれを認めればやっとインセンティブを払えるようです。

(図3) ノウハウを大学に届け出て、大学に登録。特許庁に申請しなくても良いから更に楽?

しかし、考えてみると不思議です。別に職務内で作ったものですので、大学に数%売り上げを献上するのは全然構わないのに、なぜ金を払うのにその方法を明文化しなくてはいけないのでしょうか。払うって言ってるんだから、つべこべ言わずに受け取ってくれよ!という気持ちになるのは私だけでしょうか。でも大学の使命は決してお金をかせぐ事ではないので、ちゃんと研究者達が然るべき研究をして、その上でお金を稼ぐことが出来ましたよとする必要があるんでしょうかね。

このプロジェクトではとりあえず図2のロゴを登録するパターンとノウハウを登録するパターンの二つで進めてみたいと思います!

ちょっと長くなったので残りの二つは次回説明します!

toys for SAKURA 開発編(1)

前回のToys for Sakuraブランディング計画 起業編で書いたように意匠登録の関係上、開発しているものを未だここに掲載することが出来ないのですが、簡単に言うとパズルを作っています。自分の子どもにあげる物であれば素材はなんでも良いのですが、このブランドのルールとしては「出来る限り自然素材」でとしていますので、ベニヤやMDF材ではあまり好ましくありません。そこで無垢素材の木で作ろうと考えたのですが、これが実は案外難しいことのようです。
何が難しいかというと、パズルの厚みが5mm程度の薄さで、大きさが縦横200x300くらいの大きさで考えていたのですが、その薄さだと、木材が反ってしまうためまさ目のものしか使えないだろうということらしいのです。

奥建具製作所を訪問!

薄い木材なら建具屋さんか家具屋さんが多く扱っているんじゃないかという私の浅はかな想像で早速建具屋さんに会いに行ってきました。

門構えの渋い奥建具製作所

今回訪れたのは鹿児島市東開町にある奥建具製作所です。専務取締役の奥光洋さんが対応して下さりました。驚いたことに以前私がスタジオセットをデザインした鹿児島のローカル番組「てげてげ」の製作はここで行われていたみたいなんです。鹿児島は狭いですね。もうすでに一つ仕事を一緒にしていたなんて・・。

てげてげの話は取りあえずおいて、奥さんのお話を色々と聞いたのですが、木材選びの難しさを痛感しました。ここでまとめる内容に関してあくまで奥さんの個人見解ですということを強調してと言われましたので、強調しておきました。

あくまで個人的な見解でを強調する奥さん

安定供給の難しさ

私は無垢の木材を紙とかと同じようにいつでもいくらでも在庫があるものだと思っておりました。でもそれは大きな誤りで、多くの種類の木はたまたま間伐や区画整備で伐採したものが出回るだけなようです。言われてみれば当たり前ですよね。成長の早い杉などを除けば、一本の木がそれなりの大きさに成長するまでには何十年何百年という年月が必要な訳で、そんなに気が長い植林などしても商売にはなりませんからね。ということでなかなか安定供給できる木が多くないというのが現状らしいです。
以下その中でも比較的手に入りやすい(?)木の特徴です。

スギ
かなり手に入りやすいし、まさ目をとるのも簡単そう。ただ見た目的にちょっと高級感に欠けてしまいそう。
ヒノキ
値段がちょっと高いということ、鹿児島では手に入りにくいかも。
クスノキ
鹿児島で手に入りやすいし、良い木なんですが、独特の匂いがするのともしかしたらかぶれる可能性もあるということ。
ヤクスギ
非常に高価、だけど鹿児島産ということにこだわるならありかもしれない。奥さんのところに「ヤクスギっぽい」6mm厚の板が沢山あって使えるかもしれないとのこと(使う場合はヤクスギ専門店に確認してもらう必要がありそう)。ただ、かなり希少なので、安定供給はむずかしそう。あと、目の個性が強すぎるのもデザイン的にちょっと心配なところでした。

サンプルで頂いた「ヤクスギっぽい」やつ。目の個性が強い!
こちらは米ヒバらしいのですが、青森ヒバも似ているらしいです。鹿児島で青森の材料を使うのも案外面白いのかもと思いました。

マツ
現在鹿児島市の鶴丸城というところで御楼門という門の復元をしているらしいのですが、そこでマツの赤い部分だけを使っているので白い部分が出回っているとのこと。ただ、油分が多いのでレーザー加工機では火がでそうで怖い。
イチョウ
まな板なんかを作る用の素材で、きれいだし申し分なさそう。ただやっぱり安定供給は難しそう。
ヒバ
奥さん的にはこれが良いのではみたいな感じでした。良くアメリカ産ヒバを使うらしく見た目もきれいで良さそう。アメリカ産でも安全性が担保できれば良いのですが、国産のものだと青森ヒバが有名らしいのですが、西日本では手に入りにくい感じらしいです。

カエデ
これも良い素材らしいのですが、やはりあまり安定して供給できないとのこと。公園の整備などででることがあるそうです。

現在のところまだ結論に至っていないのですが、とりあえず頂いたサンプルのヒバとヤクスギっぽいので加工してみようかなと思いました。イチョウやカエデに関してはオプションっぽい扱いにしても良いのかな。

Toys for Sakuraブランディング計画 起業編

起業編(1)

産学官連携センターへGO!

起業の事は立場柄今まで一切考えたことが無かったのですが、たしか何年か前に退職した先生が起業していたのを思い出し、もともと親交のあった産学連携センターの中武貞文先生の所に相談に行きました。

鹿児島大学の産学官連携センター。同じキャンパスなのに教育学部から遠いので車で移動。

鹿児島大学の産学連携センターは工学部のことづくりセンターの向かいにあって、挨拶がてらアポなしで伺ったのですが・・。たまたま廊下で中武先生にお会いして話ができました。

中武先生とペットのイシダイ。「釣らないでくださいよ」と言ってました笑

先生曰く、どうやら大学側もそういったベンチャービジネスを応援しているらしく、その部門の専門(後で分かったのですが、専門はどちらかというと知的財産でした)である高橋省吾先生を紹介してくださりました。高橋先生も私と中武先生が立ち話をしている時にたまたま通りすがったのですが、中武先生といい、高橋先生といい、物凄い偶然。これはきっと神様が味方をしてくれているのでしょう。

後日再度センターへ

さっそくアポイントをとって後日高橋先生のもとへ。手ぶらで行くわけにはいかないので開発中の商品と本当に簡単に書いた起業案みたいなものを持参して行きました。工学部とかの難しい知的財産物を扱っているところなだけに玩具をもっていくのは甚だ不安だったのですが。

笑いもせずに私の作品を見て下さった高橋先生。

実際高橋先生にお会いして「こんなものを開発しているんですが・・」と見せたところ、先生は「なるほど」と驚くほど普通に接していただけたので私としましてもその後の説明をスムーズに始める事ができました。一通りの説明を終えたあと、先生の方から色々とアドバイスをいただいたのですが、全く知らなかったことばかりでまさに目からうろこでした。

まず、大学発のベンチャーというのには色々とメリットがあるということ。メリットとしては以下のようなものがあるとのことでした。

大学認定ベンチャーのメリットとは?

大学名が付くことによって信頼が得られるということ、大学の施設設備を使えるということ、(部屋が空いていれば)センター内の部屋を使えるということ(家賃は内部情報で公開できません)、他にも事業化支援部門というところがあって、予算の獲得から色々と分からないことや大変なことが多い起業をバックアップしてくれるなどなど・・。これはやりベンチャー登録するしかないかなと思いました。

でもそのためには兼業許可申請と利益相反マネジメント規則(難しい言葉ですね)に申請をしなくてはいけないということ。らしいです。利益相反マネジメント規則とは、例をあげて簡単に説明すると、例えば私が起こした会社で製造したものを法外な値段で私が大学の研究費で買うのはいけないとかそんな感じの事らしいです。あたりまえですね。ちなみにこのブランドの商品を公費で購入することはないので問題ないでしょう。他にも研究室を会社の事務所とするのも違反になるようです。これは少し気をつけないと。

意匠登録の重要性

次に教えていただいたのは、意匠登録をしなくてはいけないということです。知的財産部門の先生なので、このあたりは特に丁寧に教えていただきました。私は完全に勘違いしていたのですが、授業や研究でデザインしたものは、意匠登録ができる位に考えていたのですが、むしろ、意匠登録しなくてはいけないということです。

なぜかというと、例えば私が就業時間内に書いたイラストをSNSでアップロードしたところ、思わぬ好評を得て世界中で使われるようになったとします(ありえないけど)。意匠登録をしていないとそのような事態になった時に鹿児島大学は何も権利を主張することができなくなって、「和田先生なにやってんの?」という事態になるということです。言われてみれば大学のお金で作品を作っているようなところもあるので、その成果は大学のものであるのは当然ですね。とはいえ、学生が作る作品まですべて登録していくわけにもいかないのでしょうが、今回は製品を作る訳ですから、ちゃんと筋はとおしておくことにします。大学側が意匠登録を行ってくれて登録料なども払ってくれるそうです。

もちろん権利は大学のものになるので、商品に使うとライセンス料が発生するみたいです(何%かも公開してはいけないみたいです)。ただ、不思議なのは、そのライセンス料の半分が発案者である私に返ってくるみたいでなんだか面倒くさい。意匠登録が済むまで大体6か月と言われて、「その間どこにも作品を公開できないの!?」と焦ってしまいましたが、実際は登録出願中でも公開しても権利化に影響しないようです。登録のための細かい説明なども色々いただきましたが、細かすぎるのでここでは割愛。聞きたい人は連絡ください。もちろん公開いたします。

なので制作工程をもっと書きたいのですが、商品を映すわけにいかないので今しばらくお待ちください。

あとは、商標登録についても聞いてきました。Toys for SAKURAではロゴのことですが(名称も?)、これは公開しても構わないそうです。ただあまり有名になりすぎると他の人がとってしまう可能性があるから気をつけなさいとアドバイスをもらいました。ちょっと前に流行ったPPAPみたいな問題とからしいです。まぁ、暫くは関係ないかな?

 

などなど大変勉強になりました。次は事業化支援部門に行ってみましょう!

Toys for SAKURA ブランディング計画(第二回)

1ブランド名
まず最初にブランド名を考えたのですが、既にタイトルにあるように、Toys for SAKURAという名称にした。これはもともと娘に為に作っていたものを提供することを意味している。今までに制作したものがsns等で反響があって、商品にできるのではと考えたからだ。デザイナーがあくまで個人的につくったもので、クライアントによる制約が一切なく、娘のためにという愛情とまごころの籠ったもので売れることすら念頭にない。世にある製品でそういったものは多くはないだろう。今後製品が増える事があると思われるがこの考えをブランドの基本理念とするためにこの名称とした。

2基本方針
1)子どもが使うものなので、素材はできるだけ天然素材のものを使用し、それらの情報を公開する。
2)大量生産を行わず、受注製作を基本とする。
3)製造工程を公開し、一切の秘密を持たない(研究なので)。
4)その他(今は思いつかない)

3ブランドロゴ

意匠関連理由によって現在非公開

櫻という娘の名前から桜の木をモチーフとした。
7つの櫻の花びらは1家族2愛情3子ども4安全5未来6デザイン7知育を表している。
1)ブランドタイポ
FUTURA
書体はFUTURAを用いた。これはFUTURAがラテン語にて「未来」を表すことから子どもの将来を感じさせるためである(本当はもっと太いファミリーにしたかったのだけどパソコンにはいっていなかった)。
2)ブランドカラー
PANTONE 1777EC (桜色)

(追記 2018/1/30)
4ブランドモデル
和田櫻氏(2歳 2018年現在)を起用